【対談】劇作家×演出家

「作品によせて」
劇作家・南出謙吾 × 演出家・森田あや 
聞き手 日下部そう

■バレンタイン初日らしい、恋愛もの?

日下部 南出さんは恋愛絡んでないものって書いたことあります?

南出 ほとんどないかもしれないです。

日下部 そして、だいたいちょっといびつですよね 笑。今回もそうですが。稽古場でみんなの恋愛観を聞けるのは楽しみの一つかも。

南出 骨格は単純な恋愛ものですが、 ちょっと、井村に金正恩を重ねてみたりというのは半分冗談の本気です。人と人ですけど、社会の雰囲気の一部を背負わせてみたり。

日下部 びっくり!?

南出 だって、井村やっぱり人間関係的には金正恩並のむちゃしてますもん。そこに圧倒的な正しさを持って立ちはだかる佐伯!みたいな。でもなんかどちらも人間の末路で、〇や×をつけるのではなくて、そこにある。ということを示してみたいと思いました。

森田 いつもただ恋愛の話としてはとらえてないです。表面で行われていることが恋愛というだけで、本質的な人間の欲とか嫉妬とか、プライドとかそういうきれいじゃないものをちゃんと目の前に並べて、それでも人は生きていて、人生は続いていて、理性とか本能とか、そんなちゃんとした言葉でどうにかなる話じゃない。恋愛を戦争にすり替えても成立しちゃうような人間臭いところ。

南出 ただ実はそういう意図は極めて薄く、やはりただの、風景なんです。はい、ここに山があります、川があります、汚れています。洗濯している人がいます。その風景がなんか、絵になるな。何を受け取るかは見る人次第というと安っぽいけど、ほんとうにそういう感じ。すべての解説や説明は後付けで、書くにあたってはきっとそういう分析、批評性や趣旨主題は一つもないところで書いています。奇妙な七転八倒の仕方(笑)をしている人をただつぶさにスケッチする。どうしてそんなふうになってしまったのか、すら、どうでもよく、とにかくそうなっている瞬間。どうしてそうなったのかという経緯を極限まで省くことで、瞬間の描写力はより強くできると思うのです。

森田 これ実際に稽古場で作ってる私たちにはすごく戦うべきところだと思うんです。

日下部 そうですね。

森田 本の時点での後付けと私たちの稽古場の後付けは、少し意味合いが異なってくると思うのですが、理想というか夢みたいな寝ぼけたことをいうと、私たちも後付けで成り立ったら本当にすごいことだなと思うんです。すべての行動(会話、発言を含む)は理由のないものであってほしいと思っているのです。どこまで理由のある行動にするか。それは南出作品をやるなかですごくシビアで面白い部分だと思うんです。

日下部 なるほど

森田 でもそうなるためには、本当に大切なものとか、欲しいもの、守りたいものを明確にする必要があると思うんです。

■共感できるようで全然できない、奇妙な思考の人たち・・・

南出 変なまとめ方をすると、虚構の集合体の中に、語られない本当のことが見えるんじゃないだろうか。というのがあって。

日下部 ふむ。

南出 リアルに普通にあることをそのまま提示しても、そこからは本当のことは見えないけど、ちょっと変になっちゃった位の、ほんとは隠すものをペロンと出してみたり、本当はまっすぐに言うところを言わなかったり、これはほんのすこしの加減の虚構なんですけど、それを積み重ねていく中で見えてくるものを拾い上げられると。その、ズレ具合の加減がむつかしいけど、自分なりの独自性のあるズレ具合をみつけると、ものすごく興奮します。これはきっと、自分以外の人にとっても、くすぐったいのではなからろうかと思ってえいと書く。あとは、俳優と演出家にぶんなげて、生理的に通してもらう。その無理のかかるところも、あやうい競技をみているみたいで、面白い。

日下部 あー、それすごくわかります。やっててジャンプすることがよくあって読んでるとそれはすごくわかるし面白いんだけどいざやるとなるともうわからない(笑)森田さんはそのジャンプをどう生理をつけます?

森田 今回今までの作品と少し違うように感じるのはその部分なんですかね。 南出さんの本はリアルに近い人間のやりとりのズレが滑稽だったり、そこから本質が見え隠れするけど、今回は夢の中のような少し浮いた世界の話のように感じていて、時間の経過とかもどこか夢を見ているときのような、不思議な感じがしています。自分が望んでいるものが夢のなかだったら叶ったり、恐れていたことが起こったり。ジャンプをどう整理つけるかという点については、今回みたいな作品はジャンプがあった方が面白いと思ってみています。少し現実から浮いているから。 実際にその人物を生きなければならない俳優はそこと闘わなければと思うかもしれないけど、見ている方は少し不自然な違和感が残ってもそれは味というか、シミみたいに残る気がしています。

R40とR25での舞台反転!!!

日下部 半分ネタバレですが、今回R25は一般的常識的な客席と舞台の配置ですが、R40verでは、客席と舞台を反転させてしまってますよね。これについてはどうですか?

森田 いやー。ね。大変(笑)

日下部 まぁそうですな(笑)

森田 やるんじゃなかったとちょっと後悔しちゃいたくなるくらい大変。。この台本を読んだ時に楽園とかそんなことは無視して、それでも楽園の客席を柱越しに行き来している俳優を舞台面から見ている私がいたんです。だからどうしてもやりたかった。きっと他にもいろんなやり方でいかようにも面白くできる本だと思うけど。

日下部 うんうん

森田 だから、R40は私の中では夢がだんだん現実になってる感じがしていて嬉しいんです。そういう意味ではR25ver.は役者の体や声を借りて何もないところから、ゼロから一緒に創り上げている感じ。個人にはそういう方が好きではあるんですが、今回両方できるのは本当に贅沢なことだと思っています。

日下部 贅沢は大変なんだね(笑)今回ダブルキャストで同じ役を一回り以上違う年齢の役者が演じているのが面白いなぁと思っていて、これははじめから企画していたことなんですか?

森田 そうですね。今回企画自体は、最初からありました少人数芝居がしたかったんです。男女2-2というところまでイメージが最初からあった。逃げ場のない空間で男女4人がどうしようもないことになる、そんな芝居をしたいと1年以上前から南出と話をしていました。だって、それ、超贅沢じゃない?

日下部 贅沢だねー

森田 でも、大人の事情で4人で楽園1週間を生めるというのはなかなか大変だってことになったときに、安易なところで、ダブルキャストってなって、でもただのダブルキャストはつまらないなーと思って、大きく世代が違ったらどうだろうというところで持ち上がりました。南出の書く人物が演じる世代によって、どうなるかって想像したら、あ!これはいける!っておもって。

日下部 南出さんの台本って年齢の振り幅が大きくてそれは大きな魅力だと思います。

森田 その魅力がうまくいかせる企画になったら嬉しい。

日下部 幼さがいいなぁと思っていて。どんな年齢になっても幼さはあって、そこを愛しく思っちゃうんですよね。

森田 南出作品の醍醐味ですね。

日下部 そう。年齢を重ねると隠したくなりますが。。

森田 でも人間の可愛いところだとおもう。

俳優の役割

南出 戯曲特有ののだだっぴろい行間が、演出や俳優で埋まってくる瞬間ってのは、文学が立体化して演劇になる瞬間だなと、つくづく思います。そして、その立体の部分に戯曲で触れないことが、文学の立体化をより自由度や変化の多い目の離せないものになるんじゃないかとも。ものすごく俳優に依存した本なのです。そして日下部さんの淡泊な感じがよく合うのだと思う。

日下部 突然聞き手に振りましたね。色を出すのが怖いだけですよーー

森田 相性だと思って見てます。本にとっても、日下部さんにとっても。

日下部 臆病なんです。でもその臆病さを許してもらえるのは貴重な現場だなと思ってます。

南出 日下部さんの演技って、苦手な人も多かもしれないとも思うんです。淡泊さを、ややもすれば、それが鼻につくひとだっているでしょうし、世の中には実際そういう淡泊さを押し出したものはたくさんある。

日下部 はい。

南出 ただ、わかんないですよ、わかんないですけど、日下部さんのその淡泊さは、あくまで手段であって目的ではない。ってところが大きな違いで、僕の本によくあうと感じる理由なのかなと。淡泊さという武器を使ってどうしたいのかというところに、意思が及んでいる。この違いが大きいと思うのです。淡泊に着地~ってなると、いやなんですけど、淡泊をつかって飛んでるように感じるから、すきなんです。

森田 ラストスパート頑張ります。 日下部さんありがとうございました。

日下部 いえいえ、こちらこそ頑張ります!


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らまのだ5かいめ公演

『未明かばんをとじた』

旅の途中で鞄を盗まれた。

鞄の中に入っていたもの。

後悔と少しばかりの成功、長年かけて作り上げた自分らしさ。

すべてを失い身軽になった。

一番気の合う人と、一緒になれないのは、なんで。

南出謙吾、1年ぶりの新作書き下ろし。

脚本:南出謙吾

演出:森田あや

出演:日下部そう、関口晴雄(俳優座)、田中里衣、田中千佳子(チタキヨ)、卯ノ原圭吾(キリンバズウカ)、太田ナツキ、篠原彩、松本響、松本みゆき

日程:2018年2月14日(水)~20日(火)

会場:小劇場楽園

スケジュール:

【R25】※終演後に10分程度のイベントあり。

2月14日(水)19:30 ★チョコレートプレゼント

2月16日(金)19:30

2月17日(土)17:00

2月18日(日)13:30

2月20日(火)13:30

【R40】

2月15日(木)19:30 ※終演後にイベントあり。

2月17日(土)13:30

2月17日(土)20:00

2月18日(日)17:00

2月19日(月)15:00 追加公演

2月19日(月)19:30

2月20日(火)18:30

チケット(全席自由席):前売:3500円/当日:3800円/学割:3300円/2公演共通:6000円(先着10名のみ)完売/リピ割(2公演以降):500円引き

チケット発売:2017年12月23日(土)

ご予約:https://www.quartet-online.net/ticket/mimei

―イベントゲスト―

【R25】

2月14日(水)19:30【R25】 木山廉彬

2月16日(金)19:30【R25】 滝寛式(はえぎわ)

2月17日(土)17:00【R25】 南出謙吾(らまのだ)

2月18日(日)13:00【R25】 小笠原佳秀(殿様ランチ)

2月20日(火)13:30【R25】 塩原俊之(アガリスクエンターテイメント)

【R40】

2月15日(木)19:30【R40】 シライケイタ(温泉ドラゴン)

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